『ペーパー・ムーン』〜 なんだかんだあって、最後はほっこり

(Paper Moon 1973年 アメリカ)
ペーパー・ムーン (字幕版)



ライアン・オニール、テイタム・オニール親子が、親子かもしれない二人を演じたロード・ムービー。


未亡人を騙して聖書を売りつける詐欺師モーゼは、交通事故で亡くなった恋人の葬式で彼女の娘アディと出会う。
アディをミズーリの叔母の家まで送るよう頼まれたモーゼは、事故の加害者の兄から慰謝料200ドルをせしめ、そのお金で自分の車を買い替え、列車の切符を買いアディを列車に乗せようとする。
ところがアディはその200ドルは自分のものだと言い始め、使った分のお金を稼いで返済する為、一緒に車で旅することになり、二人は息の合った連係で詐欺を働きながら旅を続ける。


いまだに破られていない、テイタム・オニールの史上最年少でのアカデミー賞助演女優賞の記録。
その演技が「素晴らしい」というよりは、もう可愛くて愛らしくて。
それでいて、旅の途中でモーゼと良い感じになりかけた女性との仲を邪魔するときには、小悪魔のような大人びた表情を見せたりします。
やっぱり、父親との共演という安心感が、彼女のリラックスと自然な演技を引き出す要因となったのでしょうか?

親子かもしれない二人と書きましたが、アディの母親にはモーゼ以外にも最低二人のボーイフレンドがいたらしく(本編中でアディが言及)、モーゼも父親候補の一人ではあるんだけど、映画を観てると「絶対親子でしょ!」と思ってしまう事しばしば。
実際の親子が演じてるので当たり前じゃんって話なんだけど、「親子でしょ」っていうか「親子であってほしい」モーゼとアディです。

一躍人気子役となり『がんばれ!ベアーズ』(’76年)にも出演した彼女も、その後は鳴かず飛ばず。
結局、「名子役」は消えていくのでした・・・。


もうカラー映画の時代になっていた’73年に敢えて白黒で撮った理由として、オニール親子の金髪と青い瞳が、アメリカ大恐慌時代という時代設定に合わなかったからだと言われているが、それ以外にもアディが男の子に間違われちゃう場面に説得力を与えてると思うし(カラーだったら女の子にしか見えないと思う)、この映画は白黒の方が合ってると思う。
なんか上手く言えなくてスイマセン。


タイトルの『ペーパー・ムーン』ってなんの事か全然知らずに観てたんだけど、座って記念撮影する紙でできた月(そのまま)で、遊園地なんかにあったみたいですね。ジャケ写になってるあれでした。
映画の中ではモーゼと一緒に写真を撮れなかったアディ。その後、一緒に撮る事はできたかな?

警察に捕まったり、でもアディの機転で脱走したり、ハラハラするシーンも結構あるんだけど、不思議と全編を通してほのぼのとした空気に包まれた一本でした。