特定の主役を設定せず、ひとつの舞台に集う複数の人物それぞれの人間模様を描き出す群像劇「グランド・ホテル形式」という言葉を生み出した作品。
本作のヒット以降、同様の手法を使った映画が恋愛、青春、サスペンス、パニック、SFまで様々なモチーフで制作される様になった。
第5回アカデミー賞作品賞受賞。
あらすじ
ベルリンにある一流ホテル「グランド・ホテル」。
落ち目のバレリーナ、経営不振の会社の合併工作に奔走する社長、彼に雇われる速記者、余命宣告され自暴自棄になり最期の贅沢に訪れたその会社の経理係、借金苦からバレリーナの宝石を狙う自称「男爵」。
ホテルに集う、それぞれの事情を抱えた人々の人生が交錯する。
感想
忙しそうに働く交換手の風景に続く公衆電話のシーンで、物語の主要キャスト、又はその身近な人が電話で話している内容で、彼らが抱えている事情を説明して行く。
無駄のないオープニングで、一気に状況を把握する事ができる。
そこからそれぞれの人生が交錯し始め、在るものの人生には光が指し、在るものは不幸な結果が、また在るものの立場は逆転する。
最近の群像劇に比べると、登場人物も少なく、それぞれのキャラクターの関係の仕方も比較的早い段階から始まり、終盤になって「そこが繋がっていたのか!」的な気持ち良さはないが、何しろ80年以上前の映画。
全てはこの映画から始まり、様々な映画人達によって進化に進化を重ねられ、数々の傑作、名作と呼ばれる群像劇が生み出されてきたのかと思うと感慨深いものがあります。
正直「古さを感じない」と言えば嘘になります。
しかし、80年以上前、戦前に既にこの映画が作られていたことには驚きです。
古典として、これからも残っていく映画であることは間違いないでしょう。
当時のMGMのオールスター・キャストで制作されたということだが、わたしが知っていたのはグレタ・ガルボとジョーン・クロフォードぐらい。しかも名前を知っている程度。
調べてみたら「男爵」役のジョン・バリモアは『E.T.』『チャーリーズ・エンジェル』などのドリュー・バリモアの祖父で、自暴自棄な経理係を演じたライオネル・バリモアは実兄なんだそうな。
ドリュー親方って芸能一家だったのね、知りませんでした。
こんな人にオススメ
ロマンティック・コメディ『ラブ・アクチュアリー』や、ゲイリー・マーシャル監督の『バレンタインデー』『ニューイヤーズ・イブ』、はたまた三谷幸喜監督の『THE有頂天ホテル』など、面白い群像劇はたくさんあります。
あなたの好きな映画の中にも群像劇があるのでは?
そんな群像劇の元祖とも言える本作、一度ご覧になってみては?
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