『ビブリア古書堂の事件手帖』〜 あの頃祖母は若かった

(2018年 日本)
ビブリア古書堂の事件手帖



2011年から刊行されている、三上延の同名人気小説シリーズの映画化。

主演は黒木華と野村周平、共演に成田凌、夏帆、東出昌大など。
監督は『しあわせのパン』、『ぶどうのなみだ』、『幼な子われらに生まれ』の三島有紀子。


あらすじ

幼少の頃、触ってはいけないと言われていた祖母の本に触れたことで叱られて以来、活字だけの本を長時間読むことが出来ない体質になってしまった青年、五浦大輔。

その祖母が亡くなり遺品整理をしている際に、例の本に夏目漱石の署名を見付ける。

大輔は、その本の価値を調べてもらうために一軒の古書店を訪れる。

店の名は「ビブリア古書堂」、そこは若く美しい女性、篠川栞子が店主を務めていた。


感想

原作がある映画の感想を書く時は「原作は未読ですが」がわたしの常套句となっておりますが、今回は珍しく読んでおります。
しかも1巻〜7巻まで全部。(外伝的な最新刊の存在は最近知ったので、これから読みます)

と言っても、発売当初からファンだったわけではありません。


「原作のイメージと全然違う」「ミスキャストだ」と散々言われたTVドラマ版にすっかりハマってしまいまして、原作とドラマにどれほどのギャップがあるのかというところにも興味があったので読んでみることに。

で、どハマりするという結果に。


確かに、原作の篠川栞子とドラマ版の剛力さんにはギャップがありました。
原作の栞子は、黒髪ロングの眼鏡美人で胸が大きいという設定、剛力さんとは色々違いすぎます。

原作を知らなければ、大輔を演じたAKIRAも含め、二人とも役柄に合ってたと思ったんですけどね。

実際、原作を読んでる時も大輔と栞子のイメージはAKIRAと剛力さんになっちゃってました。


そのイメージが4年間かけて7冊読んでいる間にリセットされた今、映画版の二人はわたしの目にどう映ったか?


まず栞子さん。黒木華さんは、だいぶイメージに近いんじゃないでしょうか?
お胸はあれですが、黒髪ロングで本の虫という感じが。


大輔は、原作では体格の良い設定なので、その点ではAKIRAの方が近いが年齢的には野村くん。
それに、野村くんはこの映画の雰囲気にあってました。

と言うのも、本作は謎解きミステリーというよりも、大輔が見つけた祖母の本に隠された若き祖母のロマンス話の方に重点が置かれているからです。

そう感じたのは、祖母の過去のエピソードの部分が夏帆さんと東出くんを使って、しっかりジックリ描かれているからだと思います。
これは、監督を務めた三島さんの持ち味なのだろうか?

とにかく、野村くんはおばあちゃん子って感じだし、ちょっと弱っちい感じがしちゃうんですよねぇ。
映画の中でもスタンガン一発でやられちゃうし。原作では「市販のスタンガン程度では倒れない」設定だったのに。


映画化の話を聞いた時はシリーズ化を狙ってるのかと思いましたが、登場人物も結構省かれてたし、原作では他の回に出てくるエピソードもちょいちょい挟み込まれてたりして、ギュッと一作にまとめた感じがしました。
もちろん7巻分ではありませんが。


なんてことを考えながらエンドロールを眺めていたら、なんとスタッフの中に「スクリプト・ドクター 三宅隆太」の名前が!
以前、表には名前の出ない仕事だと仰ってたのでビックリです。

三宅さんについては、こちらの記事でも触れていますので、よろしければ。
↓↓↓↓↓
www.kashi-yan.com


三宅さんが監修しているのなら、あれもこれも何かの意図があっての事なのだろうと、忖度を働かせるわたしなのでした。


こんな人にオススメ

原作とも、TVドラマ版とも違った趣の映画版です。
空気感は原作に近いと、わたしは感じましたが。

なので、「ファンの方は是非」とは言い難い映画ですが、「知られざる祖母の恋」が非常にロマンティックに描かれています。

ミステリー好きの方よりも、ラブ・ストーリー好きの人の方が楽しめるかも。

ビブリア古書堂の事件手帖 ~栞子さんと奇妙な客人たち~ (メディアワークス文庫)

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