『駅馬車』〜 ジョン・ウェインの出世作にして代表作

(Stagecoach 1939年 アメリカ)
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監督ジョン・フォード、主演ジョン・ウェインの初コンビ作。

デビューから10年、不遇の時代を過ごしたジョン・ウェインも本作での演技が認められ、以降ジョン・フォード監督と共に『アパッチ砦』、『黄色いリボン』、『静かなる男』といった数々の名作を生み出すことに。

’39年度アカデミー賞で助演男優賞、作曲・編曲賞を受賞。

あらすじ

奇兵隊の夫に会いに行く貴婦人、酒商人を乗せた駅馬車がアリゾナ州トントに到着する。そこに、街を追われた娼婦と酔いどれ医者、賭博師、銀行頭取、保安官が加わり、御者も合わせた8人はニューメキシコ州ローズバーグへ向かう。

アパッチ族に襲撃される恐怖にさらされながらの旅の道中、突然一発の銃声が鳴り響き駅馬車を止める。
そこに現れたのは脱獄囚のリンゴ・キッドだった。 



感想

以前何かの記事で書いたかもしれないが、登場人物それぞれのキャラが立っていると、それだけで映画が面白くなる。

キャラクターの設定がしっかりしてれば、物語は勝手に動きだす。と思う。


本作に登場するのは、貴婦人の護衛にと駅馬車に乗り込むキザな賭博師や、鉱山の給料5万ドルを持ち逃げしようとしている銀行頭取など一癖も二癖もある面々。

その中でもわたしのお気に入りは、お酒が大好きでいつも酔ってる医者のブーン。
アカデミー賞助演男優賞受賞も納得の存在感。

彼のように、登場時はいかにも頼りなさそうに人物が後半に活躍するのは、ありがちだけどやっぱり盛り上がる。

心優しい娼婦と、彼女を毛嫌いしている貴婦人が、ある事をきっかけに和解していくのもイイ。

少しでも早く遠くへ逃げたいので先へ進みたがる銀行の頭取と、安全のために戻りたがる御者の対比もイイ。


といったように、物語の大半は移動する駅馬車内と、途中立ち寄るステーションで繰り広げられる人間模様が中心に進められる。


お待ちかね、駅馬車とアパッチ族騎馬軍団のチェイスシーンは映画の終盤に。

どこかで見た事あると思ったら『マッド・マックス』でした。

荒野を逃げる一台を集団で追いかけるという図式は、『2』『サンダードーム』『怒りのデスロード』のクライマックスで踏襲しています。

途中で敵が乗り込んでくるところも全部一緒ですね。

その乗り込んできたアパッチ族の男をジョン・ウェインが撃ち、落ちたアパッチが駅馬車の下をくぐるスタントは、『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』でもオマージュされてたし、つくづく後世のアクション映画の手本となった伝説的なシーンである事を感じます。


そして目的地ローズバーグに着いてからは、もう一つのクライマックスであるジョン・ウェイン扮するリンゴ・キッドとプラマー兄弟の決闘シーン。
リンゴが脱獄したのは、父と兄弟を殺したプラマー兄弟に敵討ちをするためだった。

睨み合う一人対三人。リンゴが倒れこみながら一発放った瞬間に場面転換し鳴り響く数発の銃声。

果たして生き残ったのは誰か?

バーに入って来る一人の男。この人は生き残ったのか。と思った次の瞬間に崩れ落ちる。

映画では良く見かけるが、現実では考えられないこの表現も、演出的には「おぉっ!」ってなります。

肝心の結末は、ご自身の目でお確かめ下さい。



最後になってしまいましたが、映画が始まってから20分ほど経って、待ってましたと言わんばかりに登場するジョン・ウェイン。

ライフルをクルリと回し、クローズ・アップされて映し出されるお姿に流石のスター性を感じてしまいました。



出演者の話でもう一つ。

キザな賭博師を演じているのは、『キル・ビル』シリーズのデヴィッド・キャラダイン(そして『ロング・ライダーズ』で共演した弟達キースとロバート)のお父様ジョン・キャラダインでした。そっくりです。


こんな人にオススメ

前述の通り、数々のアクション映画に影響を与え続けている本作。

アクション映画ファン以外の方にも、一度は観ていただきたい名作中の名作です。

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