『ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』〜 人生はドラマティック

(The Big Sick 2017年 アメリカ)

ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ





『40歳の童貞男』などのジャド・アパトー監督が、パキスタン出身のコメディアン、クメイル・ナンジアニと妻エミリーの実体験を聞き製作したロマンティック・コメディ。

クメイル、エミリー夫妻自らが脚本をし、クメイルは本人役で主演も兼ねる。

2017年度アカデミー賞で脚本賞にノミネートされた。



あらすじ

パキスタン生まれシカゴ育ちのクメイルは、ウーバーの運転手をしながらコメディアンを目指し、毎夜ステージに立っている。

ある日ステージに立つクメイルに「応援の奇声」を挙げる女性が現れ、声の主エミリーとクメイルはたちまち恋に落ちる。

しかし、厳格なイスラム教徒であるクメイルの両親はパキスタン人との結婚を望んでおり、クメイルはエミリーとの交際を言い出せずにいた。

そして遂に、エミリーとの交際を秘密にしている事と、親が選んだ相手とお見合いを繰り返していたことがバレてしまい、二人の間に亀裂が。

そんな時、エミリーが病に倒れ入院してしまう。




感想

2017年度のアカデミー脚本賞と言えば、『ゲット・アウト』、『スリー・ビルボード』、『シェイプ・オブ・ウォーター』、『レディ・バード』と幾つもの部門でノミネートされる壮々たるタイトルが並んでおり、正直言って、脚本賞しかノミネートされていなかった本作は、全くのノー・マークでした。

今回たまたまWOWOWの『W座からの招待状』で放映されたので観ることが出来ましたが、もしこの機会を逃していたら、このまま知らずにスルーしていたかもしれません。

余談ですが、毎週日曜の21時から放送している『W座からの招待状』は、ヒットしていなくても本当に良質な映画を放映してくれるので、出来るだけチェックする様にしております。

おかげで、今回の様に思いがけない良作との出会いがあるわけです。



話を映画に戻します。



ブログで鑑賞した映画の記録を残していると、「実話を元にした」映画が多いことに改めて驚かされますが、その中でも「自らの」となると流石にそう多いものでもなく、しかも脚本も主演も本人となると相当特殊な部類かと思います。

他にもそんな映画があった気もするが、全然思い出せない。

検索方法も思いつかないので、とりあえずギブ。いやぁ、歳は取りたくないです。



話を映画に戻します。



映画化するにあたって、それなりの脚色はしてるだろうと思いつつも、あまりにもドラマティックな展開に驚き。

でも夫婦で脚本を書いてるので、どちらか一方の視点に偏った書き方になっていることはないと思う。

エミリーが昏睡している間のことはクメイルしか知らないので、ちょっと自分に都合よく書いているかも知れませんが・・・。



クメイルは、自分が敬虔なイスラム教信者でない事や、白人女性と交際している事を両親に言い出せずにいますが、彼の場合、人種や宗教の問題よりも、弁護士と言う親の望む道を選ばずにコメディアンを目指していることに負い目を感じてしまっているように感じてしまいました。

多くの日本人がそうだと思いますが、宗教的な縛りがある中で生活しているわけではないので、宗教的な問題がピンと来ないだけかも知れませんが。

タイトルの『Big Sick』には、エミリーを襲う難病と共に、伝統や教えを大切にするあまり、本当に大切な物が見えなくなってしまうことを病気に例えて皮肉った意味もあるのかと思ってしまいました。




主人公クメイル・ナンジアニはクメイル本人が演じておりますが、妻となるエミリーを演じるゾーイ・カザンは、あの『欲望という名の電車』『波止場』『エデンの東』の名匠エリア・カザン監督のお孫さんなんだそうな。


そんなゾーイさん、どこかで見た気がして過去作を調べましたがピンと来ず。

もしかして誰かに似ているのかとも思いましたが思い出せず。歳は取りたくないです。




「夫婦で」脚本を書いていると言った時点でハッピー・エンドは決定しており、ネタバレにはあたらないと思うので書いてしまいますが、エンド・ロールで実録物には付き物のご本人の写真が登場します。


(知りたくない人は見ないでね↓↓↓↓↓










本物のエミリーとクメイルのツーショット写真、そしてウェディングドレスでの結婚式の写真に続き、最後にパキスタン式の結婚式でクメイルの家族と撮った写真が出てきた時に思わず涙が。


やっぱり、最後は祝福してくれたんだね。



ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ

ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ

  • 発売日: 2018/09/05
  • メディア: Prime Video




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こちらは、監督自身が養子を迎えた時の経験を元に映画化。
人生はドラマティック。
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