yakkunの趣夫生活

人生で大切なことは、全て映画が教えてくれた。

『グリーンブック』〜 絶対に曲げられない信念が、そこにはある

(Green Book 2018年 アメリカ)
グリーンブック(字幕版)






ジャマイカ系アメリカ人のピアニスト、ドクター”ドン”シャーリーと、彼の運転手であるイタリア系アメリカ人トニー・ヴァレロンガが1962年にアメリカ南部を回ったコンサート・ツアーを元に映画化。

トニーを演じるのは『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズでアラゴルン役で知られるヴィゴ・モーテンセン。ピアニストのシャーリー役には『ムーンライト』でアカデミー助演男優賞を受賞したマハーシャラ・アリ。本作で再びアカデミー助演男優賞に輝く。

監督は『メリーに首ったけ』『愛しのローズマリー』『ふたりにクギづけ』の監督、ファレリー兄弟の兄ピーター・ファレリー。

本作は2018年度のアカデミー賞で助演男優賞の他、作品賞と脚本賞も受賞している。





あらすじ


ニューヨークのナイトクラブで用心棒として働くトニー・ヴァレロンガ。

ある日、ナイトクラブが改装工事のために閉鎖され、新しい仕事を探しているトニーの元にドライバーの仕事の話が舞い込む。

早速トニーが面接に向かうと、そこに待っていたの黒人のピアニスト、ドン・シャーリーだった。

8週間のツアーに同行する事になったトニーに、ドンのレコード会社の担当者は一冊の本、黒人の為のツアー・ガイド「グリーンブック」を手渡す。





感想


今回も実録物です。ホント多いですね。

wikipediaallcinemaKINENOTEそしてIMDbでも、本作は伝記ドラマそして「コメディ」として分類されている。

ファレリー兄弟の兄が監督したコメディ映画というと、『メリーに首ったけ』や『愛しのローズマリー』の様に、ちょっと下品でドタバタとした内容を想像してしまいそうになるが、本作は至って真面目な作品。

その中にギャグとまでは行かない、「ぷっ」と笑ってしまう様なユーモアが散りばめられていて、その加減が最高に丁度良い感じなのである。




ファレリー兄弟といえば、『ふたりにクギづけ』では結合双生児を主役に据え、ちょっと間違えたら批判されそうな題材を、身体的ハンデを笑うのではなく身体的ハンデのある主人公に笑わせてもらうという絶妙のさじ加減を実現し、観てる側が元気になれる傑作を生み出している。


今回も、タイカ・ワイティティ監督が『ジョジョ・ラビット』でヘビーなテーマをコメディに仕上げたのとはまた違った意味で、テーマの重さと語り口の軽さのギャップを巧みに使い、ジワジワと心に訴えかけて来る作品に仕上がっている。


www.kashi-yan.com



wikipediaによれば、「主人公であるトニー・リップの役柄が「黒人を差別から救う救済者」として誇張された伝統的すぎるキャラクターだった」として批判されたとあるが、わたし的には、トニーも逆にシャーリーに救われていた様に思う。

単純に仕事を与えてくれたということもあるが、少なからず黒人に対して差別的な感情を持っていたトニーの意識を変えてくれた事は大きい。

トニーと奥さんの関係も良くなったし。

なんと言っても、生涯の友を得られたのことはこの上ない財産となっただろう。

ドン・シャーリーの、差別的な扱いに屈しない強い信念が終盤ではトニーにも伝染し、黒人の入店を拒否するレストランを二人で去るシーンは胸熱。

その後二人は黒人のクラブに向かい、そこで披露されるシャーリーの演奏は、色々なものから解放され心の底から楽しんでいる様に見える。



ラストはトニー・ヴァレロンガ家のクリスマス・パーティ。

このシーンは、序盤でのヴァレロンガ家の朝食シーンと対になっており、トニーに起こった変化が良くわかる様になっている。

そして、最後にトニーの奥さんのあのセリフ・・・。

そりゃバレてるに決まってるか。www



黒人の方達からすれば納得いかない表現や描写があるのかも知れませんが、わたしにはそんなところまで感じ取れません。

号泣はしないけどウルッと来る、爆笑はしないけどクスッと来る、アカデミー賞作品賞・脚本賞の受賞も納得の傑作でした。



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