(The Seven Year Itch 1955年 アメリカ)
地下鉄の通風口からの風で白いドレスのスカートがふわりと浮き上がる。
この映画史上に残る有名なシーンで知られる、マリリン・モンローの代表作の1本。
ブロードウェイの同名舞台劇を、『麗しのサブリナ』、『お熱いのがお好き』、『昼下りの情事』、『アパートの鍵貸します』のビリー・ワイルダー監督で映画化。
舞台版でも同役を務めた主演のトム・イーウェルは、本作でゴールデングローブ賞主演男優賞を受賞。
あらすじ
出版社に勤めるリチャード・シャーマンは、夏の間を避暑地で過ごす妻と息子を駅で見送り、一人アパートへ帰る。
するとそこに、上階に住むカウフマンが避暑旅行に行っている間だけ間借りをするというブロンド美女が現れる。
感想
恥ずかしながら、映画好きを名乗っておきながら、今までマリリン・モンローの出演作を観ておりませんでした。
食わず嫌いと言うわけじゃないんですが、なんとなく観るタイミングがなかったとしか言いようがありません。
そんなわたしが何故、本作を観ようと思ったかと言うと、マリリン・モンローの伝記映画『Blonde』が制作され、しかもマリリン・モンローの役を我らがアナ・デ・アルマス嬢が務めるという情報をキャッチしたからに他ならない。
これは少しでも予習をしておかねば。
と言うわけで、まずは『七年目の浮気』である。
オープニングは何故かアメリカ先住民の映像。
ナレーションによれば、マンハッタン島の名の由来となったマンハッタン族は、7月になると妻と子供を避暑地に送り出し、男達は島に残って漁や狩りに出かけたのだそうな。
そこに魅力的な女性が通り掛かると、たった今妻子を送り出した男たちがゾロゾロと女性の後をついて行く。
妻子がいない間に「狩り」に出掛けるのである。
場面変わって現代のニューヨークの駅。
時代は変わっても、妻子を避暑地に送り出し、男は残って仕事に精を出す。
そこにフェロモンたっぷりの女性が通り掛かって、妻子を送り出した男たちがゾロゾロ・・・。こんなところも変わらない。
だが主人公のリチャードはついていかない。
結婚から7年、浮気をしたことがないのが自慢なのである。
自慢することか?当たり前な気もするが。
でも、自分はモテるのでチャンスは何度もあったと主張する。
ひとりで過ごすアパートで、ひとりで妄想の「モテ」エピソードを、留守中でいないはずの妄想の奥さんに自慢する。
こういう男っているよね。
「昔はモテた」とか「昔は悪かった」とか。
男ってそんなモンかも知れない。
リチャードに部屋で一緒にお酒を飲もうと誘われ、快く誘いに乗るマリリン・モンロー。
リチャードが既婚者だと知りすっかり安心するが、リチャードは「ムズムズ」。
ちなみに邦題は『7年目の浮気』となっているが、原題の『The Seven Year Itch』の「itch」とは「かゆみ」とか「ムズムズする」とかの意味で、転じて「浮気心」などの意味でも使われるらしい。
そして『The Seven Year Itch』とは、劇中に登場する「既婚男性の浮気心は7年目にピークに達する」と分析する「ブルベイカー理論」なるもので、その信憑性は不明です。
とにかくリチャードは、マリリン・モンローのフェロモンに「ムズムズ」が止まらない。
相手がマリリン・モンローでは無理もない。
片手にシャンパン、片手にポテトチップを持ち、ドレスの肩紐を後ろで留めて欲しいなんて頼まれてはノック・アウトなのである。
ピアノの連弾をしながら遂に限界を突破したリチャードは、キスをしようとマリリン・モンローに襲いかかる。
ちなみに、本作でマリリン・モンローには役名が付いておらず、単に”The Girl”となっている。
なので、この文章の中には何度も「マリリン・モンロー」が登場することをご了承ください。
話は戻って、キスをしようとするリチャード。
が、椅子から転倒してしまい我に返る。
その日はマリリン・モンローを帰らせて事なきを得るが、翌日はキスをしようとしたことをマリリン・モンローが皆んなに言いふらして奥さんにも知られているんじゃないかという妄想が広がる。
家に帰れば今度は、旅先で奥さんが浮気をしているんじゃないかという妄想に怒りが湧き上がり、それなら自分も(?)とマリリン・モンローを映画に誘う。
側から見てると、自分の浮気心を正当化してる様にしか見えない。
ところでマリリン・モンローが間借りしている部屋にはエアコンがない。
アパートに帰ったリチャードは自分の部屋で涼んで行くようマリリン・モンローを誘い入れる。
部屋が暑くて良く寝れていない彼女は、リチャードに泊まらせて欲しいと願い出るが・・・。
リチャードの「七年目のムズムズ」はどうなってしまうのか?
女性の描き方などに時代を感じずにはいられないが、ラブ・コメディとして現代でも充分通用する内容だと思います。
アナ・デ・アルマス嬢には、伝記的にマリリン・モンローの影の部分を演じるのではなく、明るく楽しく本作のリメイクをやって欲しいぐらい。
だって、この再現度を見てくださいよ。↓↓↓↓↓
こっちが本物。↓↓↓↓↓
アナ・デ・アルマス嬢の『Blonde』も楽しみですが、その前にマリリン・モンローの他の作品も観てみたいと思わせてくれる、マリリン・モンローが可愛い、マリリン・モンローの魅力たっぷりの一本でした。