何度もTVドラマ化、映画化されている筒井康隆の同名SF小説の最初の映画化作品。
監督は大林宣彦で、『転校生』(1982)、『さびしんぼう』(1985)と合わせて「尾道三部作」と呼ばれる。
主演は原田知世は、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。
共演に高柳良一、尾美としのり。
あらすじ
高校1年の春休み、スキー教室に参加した芳山和子(原田知世)、堀川吾郎(尾美としのり)が夜のゲレンデで話しているところに深町一夫(高柳良一)が現れる。
三人が集合場所に戻り皆で下山しようとするが、深町のスキーセットだけがなくなっているのだった。
新学期が始まり4月16日の土曜日、三人は理科室の掃除当番になる。
吾郎と一夫がカバンを撮りに行っている間、ひとり理科室に残った和子は誰もいないはずの実験室から物音がするのに気づく。
実験室に入った和子はラベンダーの様な匂いを嗅いで気を失ってしまい、その日を境に和子は不思議な体験をする様になる。
感想
朝ドラ『半分、青い』で佐藤健の母親役を演じた時も相変わらずキュートだった原田知世さんのスクリーン・デビュー作。
前年にTVドラマ『セーラー服と機関銃』、『ねらわれた学園』と立て続けに主演を務めたとは言え、まだまだ初々しい原田知世さんのプロモーション・ビデオ的な作品ではあるが、本作の魅力はもちろんそれだけではない。
その後、南野陽子、内田有紀、阿部なつみ、黒島 結菜と、錚々たるメンバーを主演に何度もドラマ化されていることからも分かるように、時代を超えて愛されるその物語に最大の魅力が隠されていると言って良いだろう。
ネタバレしたくないわたしにとって、どうやって物語の魅力を伝えようかと考えたけ結果、ここまでは言っても良いかな?という勝手なラインを決めさせていただきました。
というか、これだけ有名な作品なので、このぐらいの事までは皆んな知ってるんじゃないかという推測。
では発表します。
本作は、「主人公の少女と未来から来た少年の切ない恋物語」です。
どうしても知りたくない人の為に、文字色反転させていただきました。
でも、何度か観ているわたしが楽しめるので、知っていても大丈夫だとは思いますが、知らない方がより楽しめると思うので、判断は皆さんにお任せします。
オープニングの自然な人物紹介と、ちょっとした違和感。
終盤になって、その違和感の正体が分かる構成の巧妙さ。
決して「不自然」なのではなく、「違和感」に止まっているところが、その後のストーリーを楽しんでいく上で邪魔にならない程度の程良さで心に引っかかるのである。
そしてモノクロ映像と、カラー映像の使い分け。
ストップ・モーションを巧みに使った、タイム・リープの表現。
時代的に未熟だった技術を、工夫でカバーしている感じが良い。
というか、作品の雰囲気的にはバリバリのCGよりもこっちの方が合っている。
そして切ないラスト。
青春、恋愛、そして「別れ」・・・。(←ネタバレ注意)
切ないです。
あまり切ない、切ないと連呼してハードルを上げすぎると、実際に観たら大したことないじゃん、と言われそうなのであまり言い過ぎない様にしたいのだが、本当に切ない。
と、切ないラストからのおまけ映像的なエンディング。
ご存知、原田知世さんの歌う本作の主題歌『時をかける少女』。
本編の名場面集の中で歌う原田知世さん。
本編を撮影しながら、歌ってるシーンもとっていたのでしょうか?
そして、原田知世さんのNG集。
音声はないけれど、明らかに「ごめんなさい。もう一回。」と言っている原田知世さんがキュート。
最後は、カメラに向かって走って来た原田知世さんの笑顔。
エンディングは、まさにアイドルのプロモーション・ビデオそのものでした。
So cute !