早いもので、ルトガー・ハウアーが亡くなってから1年が経ってしまった。
もう彼の新作を観る事は出来ないが、お気に入りの彼の作品で、大好きだった彼の姿を何度も観ることは出来る。
そんな訳で、今回は彼のカッコイイ姿が拝める、大好きな5作品をご紹介させて戴きます。
私がハマったルトガー・ハウアー出演作5作品
『ヒッチャー』
わたしがルトガー・ハウアー を好きになった作品。
『ブレードランナー』のロイ・バッティは好きでしたが、演じているルトガー・ハウアー について「この人の作品をもっと観たい」と思ったのは『ヒッチャー』きっかけでした。
あらすじ
嵐の夜、アルバイトで車を長距離陸送している青年ジム(C・トーマス・ハウエル)は、一人のヒッチハイカー(ルトガー・ハウアー)を拾う。
ジョンと名乗ったその男は、自分は何人も殺していると言い出しジムにもナイフを向ける。
何とかジョンを車から突き落とし難を逃れたジムだったが、その後も執拗にジョンに命を狙われることになるのだった。
ヒッチハイカーが実は殺人鬼で、理由もなく命を狙われる。
こんな単純なプロットで、こんなに面白い映画が出来るなんてと、初めて観たときに受けた衝撃を今でも覚えている。
スピルバーグ監督の『激突!』にも似た不条理な恐怖を感じるが、車から落としても、事故っても、警察に捕まっても、しつこくしつこく主人公の命を狙って来る『ターミネーター』の様な要素が加わっており、動機も全く分からないといった、二重三重に不気味さを増しているキャラクターでした。
個人的に、今一番再観賞したい作品なんですが、ソフトも販売されておらずテレビでも放映されない。
そんなに需要がないとも思えないんですが、何とかならないでしょうか?
2020/7/22加筆
dounagadachsさんから情報戴きました。
2021年新春にHDリマスター版にてリバイバル公開が決定したとのこと。
ていうか、調べたらあちこちでニュースになってました。わたしのリサーチ不足です。
来年は「午前10時の映画祭」も復活するし、色々楽しみです。
『レディホーク』
こちらは打って変わって、ファンタジー世界の悲劇の主人公。
あらすじ
スリの罪で投獄されているフィリップ(マシュー・ブロデリック)は脱獄不可能と言われているアクイラの牢獄から逃げ出すことに成功するが、すぐに追手が送られる。追手に捕まりそうになったその時、美しい鷹を連れた黒騎士ナバール(ルトガー・ハウアー )に助けられる。
実はナバールと彼が連れている鷹は悪の大司教に呪いをかけられた恋人同士で、日没と共に鷹は人間の女性イザボー(ミシェル・ファイファー)の姿に戻るがナバールは狼の姿に、夜明けとともにナバールが人間の姿に戻るがイザボーは鷹の姿に変わってしまうのだった。
いつも一緒に居るのに、お互い人間の姿で出会えるのは日の出と日没の一瞬だけ。
中世を舞台にした冒険活劇の形を取りながら、物語の主軸は悲劇に見舞われた二人のラブ・ロマンス。
お互い動物の姿になってる間の記憶はなく、二人の意思疎通は行動を共にするフィリップ少年が担う訳ですが、夜の間に何があったかを聞くナバールがちょっとヤキモチを焼いたりするのが、可愛らしく見えたりもしました。
騎士と鷹、美女と狼の組み合わせが絵になるなあと思いながら観てましたが、ルトガー・ハウアー とミシェル・ファイファー、美男美女の組み合わせがやっぱり一番絵になるのでした。
『ナイトホークス』
オランダ出身のルトガー・ハウアー が、本格的にアメリカ進出を果たした記念碑的作品。
あらすじ
植民地政策に反対しロンドンでテロ事件を起こしたウルフガー(ルトガー・ハウアー )が、顔を整形しニューヨークに渡った。その情報を得た国際警察インターポールは、ニューヨークの敏腕刑事ディーク(シルベスター・スタローン)とフォックス(ビリー・ディー・ウィリアムズ)のコンビを対テロ部隊に編入させテロリスト、ウルフガーを追う。
冒頭からスタローンがヒゲ面女装を披露するという、強烈なビジュアル・インパクトを残した本作。
ルトガー・ハウアー も冷徹なテロリスト役でインパクトを残し、その後のハリウッドでの活躍を決定づけた。
地下鉄での攻防、人質を取りロープウェイに立て篭るウルフガーと交渉するディークのシーンは、記憶に残る名シーン。
本作でも、ルトガー・ハウアー は中々の不死身っぷりを見せてくれます。
意外なところで意外な伏線が貼られてました。
『WANTED/ウォンテッド』
(Wanted : Dead or Alive 1986年)
『ナイトホークス』ではテロリストとして追われていたルトガー・ハウアー が、今度はテロリストを追う側に。
あらすじ
代々賞金稼ぎを生業としているニック・ランダル(ルトガー・ハウアー )が、CIAの依頼を受け国際的テロリスト、マラク・ラヒム(ジーン・シモンズ)を追う。
クエンティン・タランティーノ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』でオマージュされた事でも話題になった、スティーブ・マックイーンの『拳銃無宿』。
本作の主人公ニック・ランダルは、その『拳銃無宿』のジョシュ・ランダルの孫という設定。
CIAが賞金稼ぎにテロリスト退治を依頼するなんて事があるかどうかはともかくとして、ルトガー・ハウアー がひたすらカッコ良い1本。
ショットガンをぶっ放し、ハーモニカを吹き、船に住んでて、バイクを乗り回し、悪い奴らをやっつける。
男のカッコ良いが詰まったキャラクター。
敵のテロリスト役は、”KISS”のジーン・シモンズ。
勿論いつものド派手なメイクではなく地味な素顔で出演しておりますが、死に様はド派手。
エンディングのハーモニカの音色が涙を誘います。
『ブレードランナー』
なんだかんだ言って、やっぱり『ブレードランナー』は外せない。
あらすじ
遺伝子工学の技術により開発された人造人間レプリカント。植民地惑星で人間に代わり過酷な労働に従事していたロイ・バッティ(ルトガー・ハウアー )ら4名のレプリカントが逃走し地球に帰還した。
彼らを見つけ出す命を受けたのは、人間とレプリカントを識別し抹殺する「ブレードランナー」として一流の腕を持つリック・デッカード(ハリソン・フォード)だった。
ハン・ソロ、インディ・ジョーンズの様にカッコ良いハリソン・フォードを期待して観たら、レプリカントとは言え丸腰で逃げる女性を背後から撃っちゃうし、何だか弱っちいデッカードにガッカリさせられる一方で、短い生涯を懸命に生きようとするロイに強く共感してしまうという結果に。
まあ、この作品に関しては多くを語らずとも皆さんご存知だと思うのでこのぐらいで。
わたしの中では、主人公はデッカードではなくロイ・バッティです。
最後に
図らずも、わたしの大好きな80年台の映画ばかりになってしまいましたが、90年代以降のルトガー・ハウアー は脇役が増えて行き、『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』や『シン・シティ』など出演作としては好きな作品も多々ありますが、「ルトガー・ハウアー を楽しむ」という意味で上記5本を選ばせて戴きました。
わたし的にはこの5本を繰り返し観るだけでも楽しいのですが、実はオランダ時代の作品など観れてない出演作品もあるので、新作がなくてもまだまだ「ルトガー・ハウアー を楽しむ」事が出来そうです。