少女時代やKARAが巻き起こしたK-POPブームから早10年。
本作は、その少女時代の不動のセンター、イム・ユナ初主演となるパニック映画。
ユナと共に主演を務めるのは『建築学概論』『観相師 -かんそうし-』のチョ・ジョンソク。
監督のイ・サングンは、本作が長編映画デビューとなる。
あらすじ
大学時代に山岳サークルに所属していたヨンナムは、大学は卒業したが就職に失敗し、ただ公園で身体を鍛える毎日を送っている。
ある日、母親の喜寿を祝うパーティーに参加した彼は、その宴会場で、かつて思いを寄せていたサークルの後輩ウィジュと再会する。
しかしその頃、宴会場のあるビルの外では、何者かが撒いた有毒ガスが街中に広がりつつあった。
感想
私がユナよりもテヨン推しだった事とは全然関係なく、全くノーチェックだった本作。
WOWOWで放送されることを知った時もスルーしそうになった私が、なぜ観てみようと思ったかというと、ライムスターの宇多丸さんが2020年のシネマランキングのベスト10に選出していることを知ったから。
以前は、宇多丸さんの「ムービーウォッチメン」を度々拝聴していたのですが、このブログを始めてからは、自分の感想が他人の感想に引っ張られるのを避ける為に聴くことも大分少なくなっておりました。
なので、今作に対する宇多丸さんの感想はまだ未聴で、2019年公開の本作が何故2020年のランキングに入ってるのか?と言うことも、「コロナで新作の公開が少なかったので、ソフト発売のタイミングで批評したのかな?」と、想像の範疇を出ない訳ですが、細かい批評は自分の感想を書いてから聴いてみようと思います。
素直な感想は「掘り出し物見っけ!」。
もしかしたら一生観ずに過ごしてしまったかも知れない映画と出会えたことは、本当にラッキー!
他人が面白いモノを自分が面白いと感じない可能性もあるが、食わず嫌いをせずに、他人の意見を聞く事の大切さを実感しました。
具体的に私の好きだった点は、スリルと笑いの融合。
でも、完全なコメディにはなってしまわない絶妙なバランス。
しかも、その両方が物語が進むにつれて加速して行き、ドンドン盛り上がっていくのである。
そして、人によっては「ご都合主義」と感じてしまいそうな展開に伏線と回収。
私はその辺に関しては寛容な方なので、あまり気になりません。
有毒ガスが階下から迫り、宴会場の客もスタッフも屋上へ逃げ救助を求めようとするが鍵が無くて出られない。
しかし外からなら開けられると言うことで、学生時代に山岳サークルでロッククライミングの心得があった主人公がビルの外壁を登り屋上へ向かう。
このシーンでは、ボルダリングのホールドの様な装飾が散りばめられたビルの外壁に「流石にそれは都合良すぎだろ」とも思いましたが、命綱なしでの外壁登りはハラハラさせられます。
無事屋上に到達し、全員屋上に避難。
これで一安心、あとは救助を待つだけ。
と思いきや、まだまだ主人公たち二人には数々のピンチが待っている。
前述の通り、ここから物語がドンドン加速していくのだが、随所に笑いが散りばめられており、笑いがあるからこそスリルが盛り上がり、スリルの中にあるからこそ笑いが効いてくる。
ダンベルの重さの合計と自分の体重を比較して一瞬考えるユナの表情と間とか、迫り来る有毒ガスから逃れるために全力疾走でビルからビルへと屋上を渡って行く二人の疾走感、からの急に三角屋根になり落ちそうになる展開とか、笑いの散りばめ方が絶妙で大好物です。
かと思ったら、やっと救助されそうになった時に、自分達よりも隣のビルに取り残されていた他の人たち優先させるという様な感動の人間ドラマも。
監督のイ・サングンは、初監督ながら脚本も手掛けてるそうで、中々の才能が現れたなと今から次回作が楽しみです。
いつも言っておりますが、エンドロールはちゃんと観ること。
本編中で「あれ!?あそこどうなってたの?」って一番気になるところが、しっかりと解消されております。
こういう痒い所に手が届く感じも好き。
エンドロールで流れるテーマ曲も、昔のアニメ主題歌みたいでダサカッコ良い。
しかも間奏には、劇中でキーとなる「タタタ、ターターター、タタタ」のリズムが使われており、何故かちょっと嬉しい。
映画を観て暫くは、この「タタタ、ターターター、タタタ」が耳から離れないのでご注意ください。