また偉大な才能が一人、この世を去ってしまった。
2006年の『16ブロック』以来監督業から遠ざかっていたが、今年に入ってから『リーサル・ウェポン』シリーズ第5弾の監督就任が発表されたばかりだったので、ショックは倍増です。
リチャード・ドナーと言えば、1978年の『スーパーマン』。
この作品の成功が『バットマン』(1989)、『スパイダーマン』(2002)へと繋がり、現在のアメコミ映画ブームの礎になったと言っても過言ではない。そして1985年には、世界中の少年少女を夢中にさせた『グーニーズ』を監督。
本作の製作総指揮を務めたスティーブン・スピルバーグが監督した『インディ・ジョーンズ』シリーズの子供版とも言える映画で、子供の夢を体現したような宝探しの物語は、今観ても胸踊らされる。続編製作の話が何度も聞かれたが、遂に実現する事はなかった。
続編と言えば、冒頭に出た『リーサル・ウェポン』。
1987年に第1作目が製作された本作は、その後1989年、1992年、1998年と続編が製作され、主演も監督も変更される事なく、これほど続いたシリーズも珍しいのではないだろうか?
そんなシリーズの最新作の企画が、今まで同様メル・ギブソン、ダニー・グローバー主演、リチャード・ドナー監督で動き出したと聞き、非常に楽しみにしていたのだが・・・。
完結編となるはずだった『リーサル・ウェポン5』。
どういう形で30年以上にわたる物語を終わらせる予定だったのか気になるところだが、リチャード・ドナーが監督することができなくなってしまった今、別の監督で製作することは出来ればやめて頂きたい。
結果が良くても悪くても、ドナー監督が構想していたもの以外は観たくない。
どうしても作るなら、是非メル・ギブソン監督で。
『リーサル・ウェポン』シリーズ以外にも、『マーヴェリック』、『陰謀のセオリー』でドナー監督作に出演した彼だったらドナー監督の遺志を継いでくれるかも知れない。
こうして書いてくると、ドナー監督が傑作と言われる様な作品を本当に多く作っていた事を再認識。
特に『リーサル・ウェポン』シリーズは、VHS、DVD、Blu -rayと買い直し、何度観返したか分からない。
偉大な才能を失ったことも悔しいが、本人が現場に復帰しようとしていたところだったことが本当に悔やまれる。
最後にもう一本。
2019年に惜しまれつつ亡くなったルトガー・ハウアー主演の『レディホーク』(1985)。
上の作品群に比べれば比較的マイナーな作品だが、個人的に大好きな作品です。
大好きな人達が、一人づつ去って行く。
新作を観ることはできないが、彼らが遺してくれた作品は、これからも私を楽しませてくれるだろう。