今時の子供達も、「闘いごっこ」をする時に「アチョーっ!」とか言うのだろうか?
そして「アチョーっ!」という「怪鳥音」なるものを”発明”したのが、ブルース・リー先生だと言うことを知っているのだろうか?
そもそも「闘いごっこ」なんて野蛮な事はしないのだろうか?
先日、『土竜の唄 FINAL』を観てきた。
劇中で、滝沢カレンさんが演じる「沙門夕磨」というキャラクターが、黒いラインが入った黄色いツナギを着用している。
YouTubeに、『土竜の唄 FINAL』の出演者である、仲里依紗さん、菜々緒さん、滝沢カレンさんの3人が映画の裏話をしている動画を見たのだが、その中で「あの黄色いツナギには元ネタがあって、実は『キル・ビル』のユマ・サーマンなんです」と仰っていた。
なるほど、「ユマ・サーマン」と「沙門夕磨(ゆま・さもん)」が掛かっているのね。
でもその元ネタには、さらにブルース・リーの『死亡遊戯』と言う元ネタがあるんだよ、と言うことを皆さんご存知なのだろうか?
カレンちゃんと菜々緒さんは知らなそうだけど、仲さんは知ってそうである。何となく。
ブルース・リー先生が亡くなって、もうすぐ半世紀。
没後5年経ってから製作された、件のツナギが使われた『死亡遊戯』からも43年経っている。
知らない人がいても無理はない。
逆に、オマージュのオマージュという形で、元ネタを知らない世代にもブルース・リー先生の魂が受け継がれて行くことに驚くとともに、嬉しささえ感じるのである。
『キル・ビル』でのブルース・リーへのオマージュは、賛辞を持って迎えられたクエンティン・タランティーノであったが、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』でのブルース・リーの描き方では思わぬ批判を浴びる結果となった。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のブルース・リーは大口叩きの感じ悪い奴として描かれ、挙句、ブラッド・ピット演じるスタントマン、クリフに叩きのめされてしまうのである。
当然の如く、「ブルース・リー先生はもっと紳士で、ただのスタントマンなんかに負けるはずない」と世界中のファンが大激怒!
だが、わたしの見解はちょっと違う。
先ずは、ビッグマウスについて。
映画の時代設定は60年代、という事はブルース・リーが香港に戻り映画スターとなる前の話で、アメリカではTVドラマ『グリーン・ホーネット』で人気を博してはいたものの、自ら主演しようと思っていたTVシリーズ『燃えよ!カンフー』の企画は、デビッド・キャラダイン主演でドラマ化され、リー先生は俳優やプロデューサー相手に武術の指導をしていた時代。
映画、ドラマの仕事、または武術指導の仕事を得る為に、敢えて大きな事を言っていたとは考えられないか。
実際に、「モハメド・アリに勝てる」と言っていたという話もあるが、じゃあそれはリップ・サービスってことで。
続いて、ブラピとの三番勝負の行方について。
第1Rは、ブルース・リー先生の飛び蹴り一発で先生の勝ち。
続く第2Rでは、リー先生は再び飛び蹴りを放つが、これはブラピが見事にキャッチし車のドアに叩きつけられてしまう。
これについては体格差もあるし、流石のブラピも二度同じ技は喰らわない、ってことで。
そしていよいよ第3R!というところで邪魔が入ってしまう。
あぁ〜っ!止められなければ、絶対にリー先生がブラピをボコボコにしてたところなのに〜。
というのが、わたしの妄想です。
当初の脚本では、ブラピの決定的な勝利で終わるはずだったが、スタントコーディネーターとブラピが反対して引き分けで終わることになったらしいが、タランティーノの意向がどうであれ、絶対にブルース・リー先生の圧勝で終わっていた筈なのである。
ブルース・リー先生は、それだけ偉大なのである。