yakkunの趣夫生活

人生で大切なことは、全て映画が教えてくれた。

映画『マトリックス リザレクションズ』〜 新たな夢を見させてくれる。

(The Matrix Resurrections 2021年 アメリカ)
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予想通り激しく賛否が分かれる結果となっておりますが、個人的には絶賛とまでは行かないまでも、まあまあ満足の行く作品でありました。


むしろ、「今更『マトリックス』の続編?」と、ハードルが下がった状態で挑んだ感も否定出来ないので、結果として面白かったのかとも思います。


じゃあ、他のシリーズの作品に比べてつまらないのかって言うとそんなことなくて、わたしにとっては第1作に次ぐ面白さで、「わたしの好きな『マトリックス』ってこの世界だった」と思い出させてくれました。





飽きるほど繰り返し観た第1作に対し、『リローデッド』、『レボリューションズ』に関しては記憶が若干曖昧になってるところがあったので、続編2作だけは再鑑賞し最新作に挑むことに。


やっぱり回を重ねるごとに話が大きくなりすぎて、付いていけない自分がいる。


続編となれば、単に続きのお話ではなく「スケール・アップ」が期待されるのが宿命。


そう言う意味でもファンの期待に応え続けてきた本シリーズ。


果たして今回は、その辺の課題をクリアしているのか?






数々の亜流を生み出し、その圧倒的なビジュアルと斬新な演出で、エポックメイキングな作品となった『マトリックス』第1作。


元々は、押井守のアニメ作品『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(1995)からヒントを得て生まれた『マトリックス』だったが、そのインパクトが強すぎたため、本家が2017年に『ゴースト・イン・ザ・シェル 』として実写化された時には、「『マトリックス』やん」と揶揄される事に。


まあ、その通りなのだが、『マトリックス』が『ゴースト・イン・ザ・シェル 』の20年近く前に、既にちゃんと『攻殻機動隊』していたと言う証明なのである。


士郎政宗のコミック『攻殻機動隊』の大ファンだった私は、『マトリックス』の映像を見て、『攻殻機動隊』の実写化も夢じゃないと思った。


いや、ずっと噂だけは消えない大友克洋の『AKIRA』や『童夢』だって実写化出来るんじゃないか!


そんな夢を見させてくれる映像だったし、その世界観は大好きな『攻殻機動隊』を連想させるものだった。


なので、続いて製作された『リローデッド』と『レボリューションズ』は、確かに作品ごとに新たな見せ場を提供してくれたし、物語も『マトリックス』の続きの話としては楽しめるのだが、話が少しづつ複雑になり、ちょっと置いてけぼりを食らってしまった感じがした。






IT系の知識が乏しいので、多少設定に「?」なところがあっても勢いで押し切ってくれるパワーが第1作にはあった。


ネオの成長物語として、複雑な理屈を抜きにして楽しめる、単純な柱が物語に存在した。


『マトリックス』の物語を、展開、そして完結させるために製作された『リローデッド』と『レボリューションズ』。


第1作は、英雄誕生の物語として綺麗に完結している。


その物語を、もう一度膨らませて結ぶ為には、話の中心を人類vs機械の戦争にして、その戦争を集結させるしかない。


それがベストだとは思うのだが、そのことが第1作と第2・3作を、わたしに別物のように感じさせる要因になっていたと思う。


『リローデッド』も『レボリューションズ』も好きですよ。


好きですけど、どこか「ちょっと違う」感じが拭いきれない。





しかし、本作は、そんな私のモヤモヤを払拭してくれました。


最初から最後まで、1作目をなぞるような展開。


まさに“resurrections”!再生!復活!


確かに、そこまでフレッシュな映像はない。


『インセプション』、『新感染』、『ワールドウォーZ』、どこかで観たような映像。


だが、それらの礎を築いたのは、間違いなく『マトリックス』の第1作だ。


様々に発展した映像技術が、一周回って『マトリックス』に帰って来たのだ。


それもまた「再生」。





『マトリックス』の肝は、電脳世界での戦い。


現実世界ではあり得ない動きで”魅せる”闘いである。


戦争は前作で終わっているので、今作での話の中心は電脳世界。


ネオも以前の記憶がないので、あの「チート級」の力も失っている。


この二点が、個人的には本作を楽しめた要因ですね。


逆に『レボリューションズ』の続きを期待していた人達は「期待外れ」だったでしょうね。


ポストクレジット・シーンも含め、自虐ネタも私は好きでした。


「ワーナー・ブラザーズは勝手に続編を作ろうとしている」ってところもネタにしちゃってて、笑っちゃいました。




ただ一つ残念だった点を上げるとすれば、わたしは全作観ているし、いつでも観直せる環境にあるので良いのですが、過去作を観ていないと絶対に着いていけないお話になってしまっている事。


『ロード・オブ・ザ・リング』のように、初めから三部作を前提に作られているシリーズでないのであれば、ある程度、単品で楽しめる作品でないといけないと思っています。


トーマスとスミスの関係性とか、シリーズのファンには嬉しいけれど、知らない人は「なに?」って思うよね。


メロヴィンジアンなんて、見た目も全然違っちゃってて、前作観てる人間でも「お前か!」って言われても「誰だよ?」って感じだったのに、初見の人は付いてこれないと思う。


でも、今作で諸々リセットされた感じがあるので、もし続編が作られるとすれば、その時こそ「完全に」新しい『マトリックス』ワールドが体験出来るのではないかと期待している。







第1作の時と同じような本作のラストは、それで終わっても私は納得だし満足だ。


しかし、続きがあるのならば、その時は凄い物を見せてくれそうな、初めて『マトリックス』を観た時の様に私に「夢」を見させてくれる、そんな作品でした。


今作で新たに登場した仲間たちの活躍ももっと観たいしね。


新しいエージェント・スミスに新しいモーフィアス。


大人になったサティちゃんに会えたのも嬉しかった。


イチオシは、バッグス船長。


新作は彼女が主役でもイイよ。


そういえば、クリスティーナ・リッチが出ていたらしいが、どこか分からななかった・・・。