(Batman & Robin 1997年 アメリカ)
前作『バットマン フォーエヴァー』の大ヒットを受け製作された本作は、前作にも負けないオールスター・キャストで、監督はジョエル・シュマッカーが続投となりました。
前作を上回る制作費を投じ、ワーナーとしては次回作も視野に入れていたが、批評家にも観客にもそっぽを向かれ、最低映画を決めるラジー賞では多くの部門でノミネート、続編の企画も消滅する結果となってしまった。
正直、バートン版の『バットマン』が大好きな私は、本作を初めて観た時、そのあまりにも「漫画っぽい」感じにガッカリしたのだが、今回改めて観直してみたところ、色々と見所も多くなかなか面白いです作品であると思いました。
まずは、今作のメイン・ヴィランであるMr.フリーズを演じるアーノルド・シュワルツェネッガー。
シュワちゃんが『ターミネーター』以来の悪役を演じるって事で話題になり、日本で大人気だったシュワちゃんは、ポスターでも一番大きな扱い、どころか単体メインの扱いだった気がします。
『T2』での「良いターミネーター」にガッカリしていた私は、本作でのシュワちゃんの悪役っぷりに期待していたのだが、思ったのと違っていて又ガッカリ。
しかし、再鑑賞で本作が株を上げたのは、シュワちゃんが演じたMr.フリーズの功績が、実は大きかったりします。
難病にかかった妻の治療薬を研究する科学者だったが、実験中に液体窒素の中に転落、0度以上の体温では生きられない体となってしまう。
体を冷却し続ける為にダイヤモンドが必要という設定だが、理屈は全く分からない。
わたしがグッと来たのはその設定ではなくて、彼と奥さんとの物語、というか奥さんへの愛の方。
薬が完成するまで妻を極低温保存しており、水槽の中で眠る彼女を愛でる毎日。
だが、その愛を、もう一人のヴィランであるポイズン・アイビーに利用されてしまう結果に・・・。
ロビン役のクリス・オドネルと共にラジー賞最低助演男優賞にノミネートされてしまったシュワちゃん。
確かに演技はダイコンだし、繰り出すギャグは全部スベってる(←それは脚本のせい)。
ほぼ全編、表情の伝わりにくい銀塗りの顔に、非常に動きにくそうな銀ゴテスーツで、それでもシュワちゃんと分かるオーラを放ちまくっていた。
そんなシュワちゃんを自分の目的の為に利用しようとするもう一人のヴィラン、ポイズン・アイビー役にユマ・サーマン。
化粧っ気無し植物大好き変態学者さんから、全ての男を誘惑するフェロモン・パワーをもつポイズン・アイビーへと変貌してしまう役はユマにピッタリ。
でも、なぜか彼女もバットガール役のアリシア・シルバーストーンと共にラジー賞にノミネートされてしまいましたが・・・。
もうここまで来ると、映画が出来とか出演者の演技がどうこうという問題じゃなくて、本作が観客に嫌われてしまっただけな気もする。
確かに、キャラクターのデザインはフィギュアというよりもソフビ人形みたいでオモチャっぽいし、開始早々映し出されるバットマンとロビンのケツのドアップからは、監督のゲイ嗜好が滲み出ている。
でも、序盤、中盤、終盤と何度も盛り上がりのある構成は観るものを飽きさせないし、ヴィランたちの背景をじっくり描いているとこも好きである。
悪役ではMr.フリーズ、ポイズン・アイビー以外にもベインも居たり、バットマンの仲間もロビンに加えてバットガールまで登場したりとキャラが大渋滞になりそうな物語をうまくまとめていたと思う。
その中で、主人公であるバットマンの影が一番薄くなってしまったところがマイナスではあるのだが・・・。
前作でバットマンを演じたヴァル・キルマーが降板し、スケジュールの都合だとか、シュマッカー監督との確執が噂されたりしましたが、ヴァル・キルマー本人曰く「バットスーツの着心地が悪く、二度と着たくなかった」というのが理由らしいのだが真相は果たして。
代わりに白羽の矢が立ったのがジョージ・クルーニー。
次回作でもバットマンを演じる予定だったジョージ・クルーニーだったが、本作が失敗に終わってしまい彼もまた「二度とバットマンはやらない」と言ったらしい。
4作品で3人、バットマンを演じた俳優が、それぞれの理由で去っていってしまう。
「映画」が商売である以上仕方のない事だが、一度の失敗で8年続いたシリーズ作品に終止符が打たれてしまう。
ファンとしては寂しい限りだ。
しかしそれから8年後、我らがバットマンは帰ってくる!
こちらの作品は、”Amazon Prime Video”、”U-NEXT”でも視聴できます。
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