(The Suburbans 1999年 アメリカ)
先日、『VHSテープを巻き戻せ!』というドキュメンタリー映画を観まして、VHS全盛の時代を懐かしみ感慨にふけってしまいました。
でも今回は『VHSテープを巻き戻せ!』の紹介ではございません。
いや、これはこれで面白いドキュメンタリーだし、映画好きの方には是非見ていただきたい作品ではあるんですが、今回は別の作品です。
『VHSテープを巻き戻せ!』を観終わり、「VHSもまだまだ捨てたもんじゃないなぁ」などと思いながら我が家の中古VHSコレクションを漁っていたら、自分でも忘れていた「個人的」お宝ビデオを発見!
その名も『ザ・サバーバンズ』。
『ラストサマー』シリーズのヒットを受け、アメリカ本国でもジェニファー・ラブ・ヒューイットをメインに据えたビジュアルとなっておりますが、あくまでも主役はタイトルにもなっているバンド”ザ・サバーバンズ”のメンバー4人。
そのメンバーの中にウィル・フェレルもおりますが、彼もまだブレイク前で主演ではない。
監督、脚本も兼ね主演を務めるのはドナル・ラードナー・ワードさん。
誰でしょう?私も、この作品以外での彼を知りません。
80年代に”BY MY SIDE”で大ヒットを飛ばしたティーンズ・バンド”ザ・サバーバンズ”。一発屋で終わってしまった彼らは、メンバーそれぞれの道を歩み18年が経っていた。元メンバーの一人ギル(ウィル・フェレル)の結婚式でかつてのヒット曲を久しぶり演奏すると、それを聴いていたレコード会社のケイト(ジェニファー・ラブ・ヒューイット)から再デビューの話を持ちかけられる。
「果たして彼らは、見事カムバックを果たすことが出来るのか!?」的な感じで物語は進みますが、本作は基本コメディです。
すっかり落ちぶれた元スターのおじさん4人が、久々の演奏や初めてのミュージック・ビデオの撮影に苦戦しつつ、私生活のバタバタにも追われる。
恋人と同居しながらも結婚には踏み出せない主人公ダニー、一度結婚に失敗し、今はDV夫から逃げて来た子持ちの女性と結婚間近のローリー、資産家の娘と結婚し事業も順調なギル、そして、いまだに音楽の夢を捨てられないミッチ、そんな彼らに近づいて来たケイトの本当の狙いは・・・。
まあ、なんだかんだ言って、この頃のジェニファー・ラブ・ヒューイットは最高にキュート。
『ラストサマー』シリーズではあまり笑ってるシーンがないので、彼女の笑顔がたっぷり見られる本作は、それだけでお宝なのです。私にとっては。
でも、内容的にもおじさん達の「青春よもう一度」コメディとしても、なかなか良く出来ていると思います。
結婚式のシーンで始まり、結婚式のシーンで終わる構成も好き。
式を挙げるカップルこそ違いますが、色々ありましたが最後はやっぱり元に戻るって感じで。
みんなそれぞれ収まるところに収まって、ハッピーに終わるのもイイよね。
本作には、ウィル・フェレル以外にも結構豪華なキャストが顔を出していて、ジェリー・スティラーとベン・スティラーがレコード会社の経営者親子の役で親子共演していたり、『オーバー・ザ・トップ』のおじいちゃん、『ビッグ』の社長を演じていたロバート・ロッジアが、ウィル・フェレルの資産家の義父役で出てたりしています。
中でも一番驚いたのが、実は本作の製作にはあのJ・J・エイブラムスが名を連ねているのですが、エンドロールを見ていたらキャストの中にもJ・J・エイブラムスの名前が!!
役名が”ロック・ジャーナリスト”となっていたので、早速巻き戻してみると・・・。
巻き戻し、久々の響き、そして遅い。
再生しながら巻き戻すとテープを傷めるので、一度停止してから巻き戻し。
カウンターを頼りに「この辺か?」と当たりをつけて停止、そして再生。
この作業を何度か繰り返し、遂に見つけた!
スターだった頃の”ザ・サバーバンズ”にインタビューする役で、バンドメンバーにマイクを向けてました。
「案外、この映像が一番のお宝かも?」となどと考えつつ、カウンターを頼りに目当ての映像を探すという懐かしの行為に暫し感慨にふける私なのでした。
最後に、個人的に本作の最高なポイントをもう一つ。
これは、今回10数年ぶりに再鑑賞して気づいたことなんですが、オープニングで『The Suburbans』のタイトルが出たとき、その下に”a rock'n roll fable”(ロックンロールのお伽話)の文字が!!
最高すぎる!
だって”a rock'n roll fable”と言えば、”俺たちの『ストリート・オブ・ファイヤー』”の事じゃないですか!
最高すぎます!
『ザ・サバーバンズ』最高!
『ストリート・オブ・ファイヤー』最高!!
と、ここまで興奮気味に紹介して来ましたが、本作は現状日本国内でディスク化も配信もされておらず、残念ながら皆さんに観て頂く方法がございません。
どうしても観たいという方は中古ビデオを探して下さい。
VHSの画質も、意外とまだまだ観られますよ。