マジかっ!?

『ナイル殺人事件』〜 ただの推理ミステリーじゃないよ。

(Death on the Nile 2022年 アメリカ) Gal Gadotわたしは、シャーロック・ホームズは好きだが、エルキュール・ポアロはあんまり好きじゃない。 なんか「いけ好かない奴」というイメージ。 だから、前作の『オリエント急行殺人事件』(2017)は、映画館に観…

『ハウス・オブ・グッチ』〜 リドリー・スコットの魔法にかけられて

(House of Gucci 2021年 アメリカ PG-12) 色々な意味で衝撃的な作品だった。 まず、ブランド物に全く興味のない私でも知っているあの”GUCCI”の歴史に、あんな事件があったのかということ。 歴史的事実の映画なので、各メディアとも当然のように「あの暗殺…

『スターシップ・トゥルーパーズ』〜 カルメンじゃなくてディジー派

(Starship Troopers 1997年 アメリカ) 本作の主人公ジョニー・リコは、運動は得意だが勉強は苦手な高校生。 同級生のディジーはジョニーに憧れているが、彼にはカルメンという恋人がおり美人で成績も優秀、ジョニーはディジーに見向きもしない。 だがカル…

『TENET テネット』〜 難解なのに面白いのか?難解だから面白いのか?

(Tenet 2020年 アメリカ) ”Don't think! Feel.”(考えるな!感じろ。)と仰ったのは、彼のブルース・リー師。 本作の序盤でも” Don't try to understand it. Feel it.”(理解しようとしないで。感じて)というセリフが出てくるが、色々考えて理解しようと…

『マーニー』〜 真実を知る事は幸せなの?

(Marnie 1964年 アメリカ) ウィンストン・グレアムの同名小説を、アルフレッド・ヒッチコック監督が映画化。出演は、ヒッチコック監督の前作『鳥』でも主演を務めたティッピ・ヘドレンと、初代ジェームス・ボンドとして既に人気を獲得していたショーン・コ…

『アルキメデスの大戦』〜 メジャーひとつで帝国海軍と戦った男

(2019年 日本) 『ドラゴン桜』で知られる漫画家、三田紀房の同名漫画を原作とし、『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズや『寄生獣』の山崎貴が監督を務め映画化。主演は『帝一の國』『あゝ、荒野』などの菅田将暉。共演に『きみの鳥はうたえる』『火口のふたり…

『アメリカン・アニマルズ』〜 面白い。実に興味深い。

(American Animals 2018年 アメリカ) 2004年、ケンタッキー州の大学生4人が刺激を求めて大学図書館からヴィンテージ本を盗んだ事件を映画化。監督はドキュメンタリー映画出身のバート・レイトン。出演は、『X-メン』シリーズのクイックシルバーで知られる…

『1917 命をかけた伝令』〜 圧倒的没入感と臨場感、そして緊迫感

(1917 2019年 イギリス・アメリカ) 007シリーズ『スカイフォール』『スペクター』のサム・メンデス監督が、第一次対戦中に伝令を務めていた自身の祖父から聞いた話を元に映画化。主演はイギリスの若手俳優、ジョージ・マッケイとディーン=チャールズ・チ…

『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』〜 コメディなのかな?

(Knives Out 2019年 アメリカ) 『LOOPER/ルーパー』『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』のライアン・ジョンソン監督が製作・脚本も兼ね、『007』シリーズのダニエル・クレイグ、『ブレード・ランナー 2049』のアナ・デ・アルマス、『キャプテン・…

『フォードvsフェラーリ』〜イイ意味で熱苦しい「男」の映画。イイ意味で。

(Ford v Ferrari 2019年 アメリカ) 1960年代、ル・マン24時間耐久レースで連覇を続けるイタリアの名門フェラーリの牙城に挑んだ二人の男の物語。元レーサーのカー・デザイナー、キャロル・シェルビー役にマット・デイモン。シェルビーにレースを託される…

『パラサイト 半地下の家族』〜 強烈。

( 기생충:Parasite 2019年 韓国 PG-12) 『殺人の追憶』『グエムル-漢江の怪物-』『母なる証明』と、傑作を生み続ける韓国のポン・ジュノ監督作。カンヌ映画祭で、韓国作品初となるパルム・ドールを受賞。主演は『殺人の追憶』『グエムル-漢江の怪物-』『…

『フロントランナー』〜 マスコミってホント嫌

(The Front Runner 2018年 アメリカ) 1988年のアメリカ大統領選挙の際に女性スキャンダルによって失脚した政治家、ゲイリー・ハートの実録ドラマ。ゲイリー・ハートを演じるのは『Xーメン』シリーズ、『グレイテスト・ショーマン』のヒュー・ジャックマン…

『菊とギロチン』〜女相撲とアナキスト

(2018年 日本 R-15) 『64-ロクヨン- 前編/後編』、『友罪』の瀬々敬久監督が30年間温め続けた企画を、クラウドファンディングにより集めた資金で映画化。大正末期に実在したアナキスト集団「ギロチン社」と、女相撲の力士たちの青春を描く。出演は木竜麻…

『セルピコ』〜 ただ一人孤独な戦いを続けた男

(Serpico 1973年 アメリカ・イタリア) ニューヨーク市警に蔓延する汚職問題に立ち向かった、実在の警察官フランク・セルピコの物語。『十二人の怒れる男』、『狼たちの午後』、『評決』など、社会派として知られるシドニー・ルメットが監督。 主演は、セル…

『タリーと私の秘密の時間』〜 女優と監督と脚本のアンサンブル

(Tully 2018年 アメリカ) シャーリーズ・セロンは子育てに疲れた主婦を演じるために、体重を20kg増量して撮影に臨み、製作も兼ねる。2011年の『ヤング≒アダルト』以来シャリーズ・セロンと再びタッグを組むのは、『JUNO/ジュノ』、『マイレージ、マイライ…

『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』〜 この気持ち、ご理解頂けるでしょうか?

(The Killing of a Sacred Deer 2017年 イギリス・アイルランド PG12) 『籠の中の乙女』、『ロブスター』のヨルゴス・ランティモス監督のミステリー映画。 第70回カンヌ映画祭ではパルム・ドールを争い、脚本賞を受賞した。主演は『ロブスター』でもコンビ…

『ボーダーライン: ソルジャーズ・デイ』〜 デル・トロもブローニンも悪人にしか見えない件

(Sicario: Day of the Soldado 2018年 アメリカ PG12) アカデミー賞で3部門にノミネートされた2015年の『ボーダーライン』の新章。 メイン・キャストのベニチオ・デル・トロ、ジョシュ・ブローリンが引き続き出演。 脚本も『ウィンド・リバー』のテイラー…

『ジョーカー』(ネタバレ)〜 狂っているのは彼か?我々か?   

(Joker 2019年 アメリカ R15+) 『バットマン』シリーズ史上、最強最悪の悪役「ジョーカー」誕生の物語。 出演はホアキン・フェニックス、ロバート・デ・ニーロなど。 監督は『ハング・オーバー』シリーズのトッド・フィリップス。 第76回ヴェネツィア国際…

『グランド・ホテル』〜 数ある傑作・名作群像劇の原点

(Grand Hotel 1932年 アメリカ) 特定の主役を設定せず、ひとつの舞台に集う複数の人物それぞれの人間模様を描き出す群像劇「グランド・ホテル形式」という言葉を生み出した作品。 本作のヒット以降、同様の手法を使った映画が恋愛、青春、サスペンス、パニ…

『ノクターナル・アニマルズ』〜 巧みな構成に導かれ、最後に唸らされる

(Nocturnal Animals 2016年 アメリカ PG12) グッチやイヴ・サンローランのクリエイティブ・ディレクターも務めるファッション・デザイナー、トム・フォードの監督作品。 第73回ヴェネチア国際映画祭において審査員大賞を受賞。 出演はエイミー・アダムス、…

『ユナイテッド93』〜 真の英雄たちの物語

(United 93 2006年 アメリカ) 2001年9月11日、アメリカ同時多発テロ事件の際にハイジャックされた4機の旅客機のうち、唯一目標に到達しなかったユナイテッド航空93便。 膨大な量のインタビューを元に、その時の機内の乗員・乗客、地上の航空関係者の様子…

『郵便配達は二度ベルを鳴らす』〜 勝手な想像をせず、フラットな気持ちで

(The Postman Always Rings Twice 1981年 アメリカ) 1934年に出版され、過激な性描写で話題になった同名小説を原作にした、4度目の映画化作品。 主演は、名優ジャック・ニコルソンとジェシカ・ラング。 あらすじ 感想 こんな人にオススメ あらすじ 流れ者…

『リグレッション』〜 複雑な見た目に騙されるな

(Regression 2015年 スペイン/カナダ R-15) 80年代〜90年代、アメリカ各地で問題になった悪魔崇拝者による儀式。そこから着想を得たサスペンス映画。 イーサン・ホーク、エマ・ワトソン共演。 あらすじ 感想 こんな人にオススメ こちらもオススメ あ…

『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』〜 心から湧き出す曲を歌え!

(Walk the Line 2005年 アメリカ)ロック、ブルース、カントリー、多岐なジャンルに渡る実在のシンガーソングライター、ジョニー・キャッシュと、彼の運命の女性ジューン・カーターの物語。 仲の良かった兄を事故で亡くし、父とのわだかまりも解消できない…

『百円の恋』〜 安藤サクラの女優魂!

(2014年 日本 R-15) 朝ドラ『まんぷく』と映画『万引き家族』で、今や日本を代表する女優となった安藤サクラが日本アカデミー賞・最優秀主演女優賞ほか、キネマ旬報ベスト・テン、ブルーリボン賞など数々の女優賞を獲得した作品。 一子(いちこ)は32歳…

『何がジェーンに起こったか?』〜 なぜ今まで観てなかったか?

(What Ever Happened to Baby Jane? 1962年 アメリカ) 映画を観続けて幾年月、数え切れない程の本数を観てるのに「えっ!?それ観てないの!?」っていう傑作・名作が何本もありまして。 まさに本作は、その中の一本。 子役として人気を博しワガママ放題の…

『バリー・シール/アメリカをはめた男』〜 その男、無茶しすぎにつき

(American Made 2017年 アメリカ) あらすじ 70年代アメリカ、若くして大手航空会社TWAの機長を務めるバリー・シールは、その腕前をCIAに見込まれ極秘偵察任務のパイロットとしてスカウトされる。危険地帯を低空飛行で通り抜け、アメリカと中米諸国…