yakkunの趣夫生活

人生で大切なことは、全て映画が教えてくれた。

『生きてるだけで、愛。』〜 感情を揺さぶる、優しい映画

(2018年 日本)
生きてるだけで、愛。


『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』の本谷有希子の原作小説を、水谷豊と伊藤蘭の娘である趣里と菅田将暉で映画化。
本作の演技で、趣里は日本アカデミー賞の新人俳優賞を受賞。

あらすじ

鬱による過眠症で働くこともままならない寧子(やすこ)。ゴシップ週刊誌の記者をやっている津奈木(つなき)とは、偶然コンパで知り合ったのをきっかけに彼の部屋で同棲している。
家にいても家事をするでもなくゴロゴロしているだけの寧子の前に、津奈木の元恋人だと名乗る安堂という女性が現れる。

感想

開始早々、酔っ払って頭から血を流したまま全力疾走する趣里さんを見たときは、『腑抜けども〜』みたいなイタイ女性が主人公の話かと思っちゃいましたが、本作の主人公寧子は、社会復帰しようともがく姿も見せる女性でした。

趣里さんの演技ってあまり見たことなくて、哀川翔さん家の福地桃子さんと混同しちゃう程だったんですけど、この作品で、わたしの中には強烈な印象を残しました。

逆に、今まで数々の映画で強烈なインパクトを残してきた菅田将暉くんが、今回は演技でも役の上でも、趣里さん、そして彼女が演じる寧子を見守るような静かな演技で、それでいて視聴者の印象には残る、役者として更に一つ上のステージ上がった感じ。もはや、大物の風格です。


本谷さんの作品は、本作と『腑抜けども〜』ぐらいしか知らないけど、人間の暗部を描きながら人生に一筋の光明を見出すような話が多いのだろうか?小説も読んだことないのに、偉そうなこと言えないけど。
本作でも、優しくされたり裏切られたり、支えられたり突き放されたり、人間は色んな面を持っていて、良い面も嫌な面も持っているんだという事実を突きつけてくる。

人の不幸でお金儲けをしているゴシップ誌の記者という仕事をしている菅田くん演じる津奈木。
同僚の美里から、過去に彼女が書いた記事で、ある人を自殺に追い込んでしまったことを聞き、自分の仕事に疑問を持つ。

津奈木は、自分が苦悩を抱えながらも、今まで通り寧子を包み込むことができるのか?
寧子は新しいアルバイトに馴染み、津奈木への依存を断ち切ることができるのか?

だが、人生は捨てたものではない。結局は自分次第ということか?

ネットで皆さんの感想を見ていると、色々な感じ方をしている方がいるようなので面白いです。
色々な意見が出てくるということは、それだけみんなに疑問提示しているということ。
生き方に関する話なので、観る人の数だけ意見が分かれて当然。
わたしの意見を押し付けるつもりもないし、他人の意見を否定するつもりもありません。
むしろ、自分と全然違う感想をみつけると、「なるほど」と感心してしまいます。


そういえば、美里を演じる石橋静河さんのお父さんは、俳優の石橋凌さん。
趣里さんと石橋静河さん、今後が楽しみな二世女優さんが二人も出てました。


監督の関根光才さんて全然聞いたことないと思ったら、長編初監督作だそうで。次回作がたのしみです。
AKB48の『恋するフォーチュンクッキー』のMVを撮っていたてのは、ちょっと意外でした。なんとなく。


それにしても、安堂役の仲里依紗さんがハマりすぎてて怖い。大好きです。

こんな人にオススメ

『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』、『勝手にふるえてろ』などで、生きづらい現代社会で悩みを抱えながら生きて行く若者達に共感してしまう方。

生きてるだけで、愛。

生きてるだけで、愛。