『ロスト・シティZ 失われた黄金都市』で、ジャングルを舞台に伝説の古代都市の捜索に取り憑かれた男を描いたジェームズ・グレイ監督が、今作では、地球外生命体の探査に取り憑かれた男と、そんな父親の幻想を追いかける息子の物語を描く。
主演はブラッド・ピット。共演にトミー・リー・ジョーンズ、ドナルド・サザーランド、リヴ・タイラー。
あらすじ
地球外生命体の探査に向かったまま消息を絶った父の背中を追い、自分も宇宙飛行士への道へと進んだロイ・マクブライド。
ある日、突然地球を襲ったサージ(異常な電気の波のようなもの?)により多くの死者が発生。
陸軍に呼び出されたロイは、実は彼の父親は生きており、彼が事件に関係している可能性を聞かされる。
ロイは、太陽系の果てにいるという父親と連絡を取るために火星へと向かう。
感想
物語の大筋としては、男の子が大人になるための儀式としての「父親越え」を、若いうちに父親を亡くしたために出来なかった男が、実は生きていたという父を探し、その幻影を乗り越えることによって人間として一つ成長するって話。と、受け止めました。
まあ、解釈は人それぞれあるようなので、他人のレビューを読んでいると、賛も否も含め、非常に楽しめます。
全然違う意見に出会うと、「そういう解釈もあるのか」ってことで本編を観直したくなるのも、この映画の面白いところか?
実際の話、父親を越えるって簡単なことじゃなくて、わたしなんて一生越えられる気がしませんが。いいんです、ずっと子供で。
まぁ、それはいいとして。
果たして、宇宙を舞台にしてやらなければいけない話だったのか?
確かに、宇宙じゃなくても物語を成立させることはできるでしょう。
ただ、宇宙を舞台にすることによって面白くなった部分は多々あると思います。
冒頭の、超々高層宇宙アンテナでの事故からのブラピが落下。
高所恐怖症だったらチビっちゃいそうなこのシーン、どうせCGでしょって思いながらもクラクラしちゃいました。
このテンションで2時間やられたら、相当疲れそうだな。と思っていたら、突然のトーン・ダウン。
非常に静かな語り口で、物語は綴られる。
まるで宇宙の静寂の様な静かさ。
からの、激しいアクション!
劇場封切り前からYouTubeで公開され話題になっていた、月面カーチェイスのシーン。
動きは激しいのに、音はほとんど聞こえない。
音もなく銃弾が飛び交い、月面車がクラッシュする。
これは新しい。超フレッシュ。もっと見たい。
このシーンと合わせて、この後、月から火星に向かうロイ達が遭遇するある事件。
本筋に関係ないので、要らないんじゃないかという意見もあるようですが、月や火星に移住する様になっても相変わらず争っている人類の愚かさ、まだ解明されていない宇宙という空間が我々に及ぼす影響と、そんな空間に身を投じる恐怖を描く、重要なシークエンスだと思います。
SF映画の名作『2001年宇宙の旅』とも比較され、宇宙版『地獄の黙示録』とも評される本作。
これからも様々な議論を生むことでしょう。
是非みなさんも、自分の目でご覧になって、それぞれの解釈で楽しんでください。
そして、これまた色々と意見が分かれそうなラスト・シーン。
わたしの意見はここでは書きませんが、この解釈の分かれるエンディングは大好きです。
こんな人にオススメ
『インターステラー』『オデッセイ』『ゼロ・グラビティ』のような、近未来SF映画がお好きな方。
ただ重厚さでは『アド・アストラ』も引けを取らないが、エンターテインメント性では前記3作品の方が上に感じるが、好みの問題か?
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