(Godzilla: King of the Monsters 2019年 アメリカ)
舞台は前作の『GODZILLA ゴジラ』から5年後。
芹沢猪四郎教授ことケン・ワタナベ率いる怪獣調査期間「モナーク」は、世界各地で休眠中の怪獣を発見、そこに基地を建設し調査を続けていた。
その一つである中国・雲南省の基地では「モスラ」の幼虫が孵化しており、エマ・ラッセル博士は「オルカ」と呼ばれる装置を使ってモスラの幼虫との交信を試みていた。
しかし、突然、雲南省の基地は謎のテロリストに襲われ、「オルカ」と共にエマと娘のマディソンも捕われてしまう。
「オルカ」を奪ったテロリストたちは、「モンスター・ゼロ」と呼ばれる怪獣を目覚めさせる為、南極へと向かう・・・。
さあ、みなさんお待ちかね。
ゴジラに続いて、日本が誇る大スター「モスラ」が、満を持してのハリウッド・デビュー。
そして、ゴジラの永遠のライバル、モンスター・ゼロこと宇宙怪獣「キングギドラ」、さらには空の大怪獣「ラドン」も登場!
おじさん大興奮。
CG感バリバリでアニメっぽいけど、そこは言うまい。
これだけ主役級のスター怪獣が揃ってしまうと、人間なんてみんな脇役。
ストーリーや人間ドラマなんてどうでも良いから、ずっと怪獣同志の闘いを見ていたい。
と言いたいところなのだが、ケン・ワタナベ以下、人間の登場人物たちも頑張っております。
キングギドラを手始めに、世界中の怪獣たちを目覚めさせようとするテロリストたち。
しかし、実はその裏には、彼らに協力を依頼した科学者の存在があった。
その科学者の言い分は「人類が破壊している地球環境を修復するために、怪獣による破壊と再生が必要だ」というもの。
こう書くと、いかにもマッド・サイエンティストな感じがするが、本作の場合はちょと違う。
そこにあるのは地球への愛、人類への愛、家族への愛なのです。
前作『GODZILLA ゴジラ』の怪獣ムートーも放射能を食べてくれるし、観ている私も、人間よりも怪獣が支配した方が地球の為には良いのではないかと思ってしまう。
かと言って、人類が黙ってヤられる訳にも行かないので様々な兵器で戦うのだが、そこで登場するのがなんと「オキシジェン・デストロイヤー」!
初代『ゴジラ』に登場した、あの兵器なのです。
相変わらず頑なにゴジラを信じるケン・ワタナベを尻目に、ゴジラ諸共キングギドラにオキシジェン・デストロイヤーを発射。
結果、キングギドラには効かず、ゴジラだけが海中に沈んでしまう。
どうなる人類!?
どうなる地球!?
そこに登場するのが、我らがモスラ。
きゃーっ!素敵ーっ!美しぃーっ!
モスラの歌うような呼び掛けに、僅かに答える声が。
「ゴジラだ」と呟くケン・ワタナベ。
ゴジラはまだ生きている。
そしてゴジラを復活させる為に彼が取る行動は・・・。
人間も熱くさせてくれるぜっ。
登場人物が織りなすドラマも熱いが、製作陣の思いも熱い。
先に書いた「オキシジェン・デストロイヤー」もそうだが、劇中には「ゴジラのテーマ」も「モスラの歌」もBGMとして使われており、流れてきた時には鳥肌ものだし、やっぱりちょっと嬉しい気持ちになる。
エンドロールで流れる「ゴジラのテーマ」に「あぁ、良い怪獣映画だった」と浸っていると、最後に「In memory of Yoshimitsu Banno(1931-2017) Haruo Nakajima (1929-2017)」のメッセージと共にゴジラのスーツから顔を出した男の写真が。
長年ゴジラのスーツアクターを務めた中島春雄さんと、1971年の『ゴジラ対ヘドラ』を監督し本作と『GODZILLA ゴジラ』の制作にも携わった坂野義光さんに対し献辞が掲げられている。
『ゴジラ』に対する数々のリスペクト、泣かせます。
それにしても、ラドンの奴は信用できねぇ。