(Batman 1989年 アメリカ)
アメコミ・ヒーロー物でありながら、とってもダークで、ノワール映画の雰囲気も漂い、それでいてティム・バートン色も強く出ている作品。
1989年全米興収では、『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』、『リーサル・ウェポン2/炎の約束』を抑えて年間No. 1の成績を収めた。
ワーナーブラザーズのロゴマークが消えると、真っ暗な迷路の中のような所をカメラが進んで行く。
次第にカメラが上昇し、徐々に引いていくとバットマンのマークが現れる。
今までカメラが進んでいたのは立体的なバットマンのマークの中で、真っ暗な迷路は、バットマン=ブルース・ウェインの心の闇だったり、ダークなゴッサム・シティだったり、はたまた洞窟の中に隠されたバットマンの秘密基地をも暗示しているよう。
本編が始まると、両親と少年の親子3人がタクシーが捕まらずに、仕方なく路地裏を抜けようとしたところで強盗に遭ってしまう。
母親の悲鳴を聞きつけ動き出す、何者かのシルエット。
場面変わって、二人組の強盗が戦利品を物色していると背後に音もなく降り立つ黒い影が!
この一連のシーンで、バットマンが、表には出て来ない「影の存在」であることが印象付けられる。
そして、そんなバットマンを、さらに影から支えるのが執事のアルフレッド。
ウェイン家のパーティーのシーンでも、ご主人であるブルース・ウェインが適当にその辺に置いちゃうペンやらグラスやらを、どこからともなく現れてサッと片付けてしまう完璧な執事っぷり。
しかも、警察の情報でも何でも、「調べといて」と頼まれれば、いつどうやって調べてるのかは映されないが、きっちり調べ上げてしまう。
最早、謎すぎてカッコイイ。
でも、ヒーロー映画で忘れちゃいけない、むしろヒーローよりも重要かもしれないのが悪役の存在。
本作に登場するのは、最強ヴィランとして名高いあの「ジョーカー」、しかもアカデミー賞俳優のジャック・ニコルソンが演じております。
前半は、『チャイナタウン』(1974)で見せたハード・ボイルドな演技で、ジョーカーへと変貌してからは『カッコーの巣の上で』(1975)、『シャイニング』(1980)の時のような狂気の演技で楽しませてくれます。
プリンスの『Batdance』にもサンプリングされたあの高笑いは、暫く耳から離れません。
ジョーカーになる前のジャック・ネイピアの時、ジョーカーとなってから初めて登場する時、そして若きジャック・ネイピアの時と、暗闇から登場するシーンが何度も繰り返し使われているのも印象的。
そんなジョーカーの人を小馬鹿にしたような言動が、時々、同じくティム・バートンが監督した『ビートルジュース』のキャラと被ってしまうのだが、そのビートルジュースを演じていたのは、なんと本作でバットマンを演じているマイケル・キートン。
初めはマイケル・キートンの顔は、どちらかと言えば悪役向きで、ヒーローの役はミスキャストではないかと思ってましたが、観終わってみれば納得のキャスティング。
両親を殺された過去を持つ青年が、特殊な能力もないのに財力に物を言わせてヒーローになろうだなんて、普通の精神状態じゃないよね。
破滅型の傾向があるのか無茶をする事もあり、劇中でアルフレッドに「古い友人を亡くし、次はその息子ですか⁉︎」と嗜められるシーンにはグッと来てしまいます。
闇を背負った闇のヒーローを演じるのは、二枚目ではない(失礼?)マイケル・キートンがピッタリです。
ダークな世界観のダークな物語の中では、ジョーカーの使うポップでカラフルな小道具が際立ちます。
美術館の展示物を染め上げるカラフルなペンキ、パステル・カラーの染められた車にド派手な衣装。
世界観と対照的な色彩が、ジョーカーの狂気を更に際立たせます。
一方、黒で統一されたバットマンのアイテム群。
唯の人であるブルース・ウェインは、悪と戦うために金と化学の知識を総動員。
様々な小道具でピンチを脱し、観るものを飽きさせません。
シルエットが、まんまバットマン・マークなバットプレーンもカッコ良く、満月をバックにシルエットが浮かび上がるシーンなんか堪らないんですが、わたしはやっぱり本作のバットモービルが好き。
c3型コルベットを彷彿とさせる流線形のボディーが美しすぎます。
こちらの作品は、”Amazon Prime Video”、”U-NEXT”でも視聴できます。
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