『ハード・ウェイ』〜 マイケルにはコメディがよく似合う

(The Hard Way 1991年 アメリカ)
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『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズで押しも押されぬ大スターとなったマイケル・J・フォックスが、「アイドルから一皮剥けたい大スター」という役を演じたアクション・コメディ。
共演は『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』『ヴィデオドローム』のジェームス・ウッズ。

あらすじ

ニック・ラングはハリウッドの大スター。次の作品でリアルな刑事役を獲得したいと思っていたところ、TVで目にしたのが、連続殺人犯パーティ・クラッシャーを追うニューヨーク市警殺人課のジョン・モス刑事。
ニックはモス刑事と行動を共にし、本物の刑事の振る舞いを学ぼうと考える。

感想

監督は『サタデー・ナイト・フィーバー』のジョン・バダム。他にも『ブルーサンダー』、『ショート・サーキット』、『張り込み』シリーズ、『バード・オン・ワイヤー』、『ニック・オブ・タイム』と、大ヒット作は無いものの、個人的には好きな作品が多い監督。
本作も、コミカルとスリリングの融合で、最後までだれることなく110分間ずっと楽しめます。
しかし、終盤のカー・アクションが派手なのは、セカンド・ユニットの監督を務めた『ワイルド・スピード』のロブ・コーエンによるものか?

だが何と言っても、本作の一番の魅力はマイケル・J・フォックスのコミカルな演技。
新しい恋人スーザンに対して中々心を開けないモス刑事のために、ニックがスーザンを演じて会話のシミュレーションをするシーンが最高!最初は嫌がるモスが、だんだんとニックの演技にハマっていき、端から見るとモスがニックを口説いてるようにも見えて笑えます。
大人な役を獲得したいニック・ラングの設定が、当時、TV『ファミリー・タイズ』や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で定着したコミカルなイメージから脱却しようと、『カジュアリティーズ』などシリアスな作品に挑戦していたマイケル・J・フォックス本人とイメージが重なります。
でも、やっぱりマイケルと言えばコメディ。
またいつか、彼のコミカルな演技を見たいものです。


ロブ・コーエンが製作に名を連ねるとともにセカンド・ユニット監督も担当していたことにも驚きましたが、出演者の中にも意外な名前が。
ニック・ラングのエージェント、アンジーを演じるのは『ビッグ』『レナードの朝』の名匠ペニー・マーシャル監督。
また、スーザンの娘ボニーの役で、『バッファロー’66』『モンスター』のクリスティーナ・リッチが出演。
他にも、パーティ・クラッシャーを演じるのが『アバター』のクオリッチ大佐、『ドント・ブリーズ』の盲目の老人で強烈な印象を残したスティーブ・ラングだったり、俳優業進出したてのラッパー、LL・クール・Jがモスの同僚役で出ていたりと、意外に豪華な布陣。


劇中劇として登場するニック・ラングの主演映画『スモーキング・ガン2』。
上映中の映画館でパーティ・クラッシャーを追うシーンが、スクリーン上の映像とリンクしたり、ヒッチコックの『北北西に進路を取れ』のラシュモア山のシーンを意識したかのような、クライマックスのニック・ラングの立体看板のシーンなど、物語に絶妙に絡んできます。
映画の中では、ニック本人が「クズ映画」と言っていましたが、予告編が『インディ・ジョーンズ』っぽくて、わたしが好きな部類の映画な感じ。ぜひ観てみたい。

こんな人にオススメ

『48時間』、『ダイ・ハード3』など、一見噛み合ってない様で実は「名コンビ」な刑事と素人のバディ・ムービーがお好きな方。

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