『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』〜ホラーでコメディで、まさかのミュージカル

（Little Shop of Horrors　1986年　アメリカ）

元々は、1960年に「B級映画の帝王」ロジャー・コーマン監督の同名ホラー映画として公開されたものが、1982年にオフ・ブロードウェイでミュージカルとして上演され、そのミュージャカルを映画化したものが本作。

主演は『ゴーストバスターズ』シリーズ、『ミクロキッズ』シリーズのリック・モラニス。
監督は『スター・ウォーズ』シリーズでヨーダのマペットを操作し声も担当しているフランク・オズ。

失敗ばかりの冴えない青年シーモアは、みなしごだった自分を育ててくれたムシュニクが営む花屋で働いている。
花屋の店員オードリーとは互いに惹かれあっているが、彼女にはドSの歯科医の恋人がいた。

ある日シーモアは中華街で不思議な植物を買ってきて「オードリーⅡ（ツー）」と名付ける。
この植物を店頭のウィンドウに飾ると、暇だったお店にお客が押し寄せる様になるが、実はこの植物は人の生き血を吸う宇宙植物だった。

久しぶりに観たけど、やっぱり楽しい映画です。

この映画の魅力その１は、ミュージカルのキモである楽曲。

オフ・ブロードウェイで大ヒットし、未だに日本でも度々再演されるのも納得の素晴らしい楽曲の数々を生み出したのはアラン・メンケンとハワード・アッシュマンの名コンビ。

そうです。あのディズニーの名作ミュージカル『リトル・マーメイド』『美女と野獣』『アラジン』を手掛けた作詞・作曲コンビなのです。
惜しくも、アッシュマンは『美女と野獣』の完成を待たずに1991年に亡くなってしまいましたが、メンケンは未だにディズニー映画などで作曲家として活躍してますね。

そう思って聞くと、ディズニー・アニメで掛かっててもおかしくない楽曲ばかりです。

サントラで何度も聞いていたってワケじゃないのに、メインタイトルの『Little Shop Of Horrors』は当然として『Dentist!』『Suddenly, Seymour』など、未だに覚えてる曲が結構あって驚き。
それだけ印象に残る曲ってことなんだろうけど、アラン・メンケン恐るべしです。

この映画の魅力その２は、本作の主役とも言える宇宙植物の「オードリーⅡ（ツー）」。

アミマトロニクス技術を駆使して作られた彼（彼女？）の表情豊かな演技が、とってもキモ可愛い。

実際には口しかないので表情と言えるのかどうか分からないが、ニヤっと笑ったり、血を求めてチュウチュウしたりと、この口が非常によく動く。

しかも歌う。ミュージカルなので歌う。

人が操作しているとは思えない自然な動き。CGでは、この味は出ないんだよなぁ。

そして、この映画の魅力その３は、豪華キャスト陣。

スティーブ・マーティン、ジェームス・ベルーシ、ジョン・キャンディ、ビル・マーレイといった、コメディ界のスター達が続々登場。

しかも、ドS歯科医役のスティーブ・マーティン以外は誰がやってもイイような小さな役。
でも存在感が、オーラが違う。

特に、ドS歯科医が引くほどのドMっぷりを見せたビル・マーレイ。
やっぱり面白いねこの人。『ゴーストバスターズ』の新作も楽しみです。

本作のヒロイン、オードリー役を演じたエレン・グリーンさん。
歌上手いなぁと思ったら、元々ナイトクラブで歌ってて、ミュージカルの舞台に立ったりしてる人でした。

これ観たときは、コメディの人かと思いましたけど、そう言えば、その後ほとんど映画では見かけません。

『レオン』では、バスタブに浸かっているところをゲイリー・オールドマンにショットガンをぶっ放されておりました。可哀想・・・。

オープニングからタイトル曲を歌い、度々その美しいハーモニーを聴かせてくれる三人娘。

名のあるコーラス・グループの方か何かと思ったのですが、調べても全然出てきません。

誰かご存知ありません？

人食い植物の話ですが、ホラー要素はそれほど強くないので、コメディ好き、ミュージカル好きの方にもオススメできます。

特に『美女と野獣』『アラジン』の楽曲にハマった人は、騙されたと思って観てください。
この映画でも数々の名曲に出会えます。

ホラーとコメディの組み合わせって意外にイイよね。
世間的には散々だったけと、個人的には好きな映画です。
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