『十二人の死にたい子どもたち』〜 君たちには無限の可能性がある

(2019年 日本)
十二人の死にたい子どもたち




2016年発売の冲方丁の同名小説を、『金田一少年の事件簿』、『TRICK』、『SPEC』シリーズの堤幸彦監督により映画化。

出演は、杉咲花、新田真剣佑、北村匠海、高杉真宙、黒島結菜、橋本環奈など。


あらすじ

いじめや病気など、それぞれの理由で安楽死を求め、サイトで知り合い廃病院に集まった12人の未成年者たち。

ところが計画を実行しようと集まった部屋には、まだ新しい13人目の死体があった。


感想

集団で安楽死する為に集まった12人の若者が、自死を思いとどまるまでの経緯を見せる密室会話劇を想像していた。

それは完全に『十二人の怒れる男』に似たタイトルに引っ張られたのだと思う。

実際、序盤は「13人目の彼」の死の真相を巡り話し合う展開に。



この集まりには「全員一致」のルールがある為、一人でも反対者がいると「安楽死」を実行できない。

彼らの中には、単に死ぬのが目的ではなく「自死」でなければいけない理由があるものもいて、「13人目の彼」の死が12人のメンバーの内の誰かの手によるものなら、自分たちに容疑がかかる可能性も、被害者にされてしまう可能性もあり、真相を究明するまで計画が実行できなくなってしまう。

ここまでは、議論を進めるにつれ「実行」への反対者が増え、まさに『十二人の怒れる男』的展開。



しかしここから、12人の中にいるかもしれない犯人捜しをする推理サスペンスへと変わり、病院内で捜査を進める内に新たな「事件」も発生、謎はどんどん深まっていく。



『金田一少年〜』シリーズ、『TRICK』シリーズの堤幸彦監督らしい謎解きエンタテインメントでした。

有名、無名(わたしが知らないだけ?)取り合わせた12人の若手俳優の方たちも皆さん良かったし、キャラクターの役割分担もエピソードへの関わり方もバランス良く、非常にまとまりの良い物語だったと思います。

突っ込みどころがないわけではないけれど、粗探しの様なことは止めておきましょう。




エンディングで流れるThe Royal Conceptの『On Our Way』。

突然ノリノリの洋楽が流れて「何でっ?」って感じになりましたが、歌詞を調べてみたら映画の内容に合った非常に良い選曲でしたね。

出来れば、それが伝わる様に字幕を付けて欲しかったところですが、映画での出来事を時系列順に整理した映像が流れるエンドロールで、更に字幕まで付いちゃうとゴチャゴチャしちゃうので、ここは映像の方優先で正解かと思います。

まぁ、曲調だけでも彼らの未来を感じ取れるので、それだけで充分でしょう。




調べるのが面倒な人に、ちょっとだけ歌詞を紹介。

We are young, we are one(僕らは若い、僕らはひとつだ)

Let us shine for what it's worth(価値あると思えるもののために輝こうじゃないか)

てな感じの歌です。



こんな人にオススメ

タイトルからイメージされるものとは違った、謎解きエンタテインメントです。

推理サスペンスが好きな方なら、楽しんでいただけると思います。

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